第48章 *甘味、時々苦味*〜高尾和成〜
香奈side
香奈「バカ!大嫌い!」
…こんなつもりはなかったのに。
事の始まりは、今日の朝。
バレンタインの今日、私は、毎年のように和成にチョコを渡そうとしていた。
幼馴染の和成には、毎年あげるんだけど、今年は特別だった。
そう、今日は…
私が和成に恋してから、初めてのバレンタイン。
ずっと片想いだったし、それでいいと思ってたけど、いつかそれだけじゃ物足りなく感じてた。
和成と…これからは、恋人として一緒にいたい。
そんな想いを込めて、今年も私はチョコを作った。
…なのに、
香奈「おはよう和成!あのねっ」
高「あ、ヤバ、朝練遅れる!走ろ!」
朝も、
香奈「和成っ…あの、」
高「真ちゃーん!チョコ何個もらった?あ、ない?ごめんごめんw」
休み時間も、こんな感じで避けられた。
しかも、他の子のチョコは普通に受け取ってるみたいで。
だから、私は放課後、
香奈「和成…あのね、ずっと話したかった事なんだけど…」
意を決して、和成に話を切り出そうとした。
高「ごめん、受け取れない。」
だけど、話す前に、遮られた。
…それで、今私と和成は喧嘩した。
どうして、私を避けるのか、
どうして、受け取ってくれないのか、
何と無くは分かっていた。
香奈「私は…好き、だよ…」
でも、和成は私が嫌いなんだよね。
私、もう…和成と話せないのかな…
香奈「っ…やだ、ぁ…」
放課後、下校中に私が逃げ出してから、しばらくが経っていた。
自分の部屋のドアを背に、私はうずくまった。
『ピンポーン…』
と、その時、家のインターホンがなる。
泣いてた事を知られたくなかったけど、家には他に誰もいないから、仕方なく受話器を耳に当てた。