第48章 *甘味、時々苦味*〜高尾和成〜
…しばらくして、和成を家に招き入れた。
今は、私の部屋で二人きり。
高「うわ、情けな…何この顔。」
和成は、自分の顔が写った鏡を見ながら、独り言を呟いた。
和成も泣いてしまったらしく、目が赤くなっていた。
香奈「大丈夫?目、痛くない?」
高「痛くはないんだけどさ…。それより、香奈のが心配なんだけど。」
いきなり顔を近づけられて、ドキッとする。
香奈「あ…ちょっとだけだから、安心して?」
そうは言うけど、実はかなり痛かった。
腫れちゃったし、こんな顔和成に見せらんないよ…
高「…」
『チュッ』
次の瞬間、何が起こったのか分からなかった。
ただ、右目に違和感。
…その後、ペロッと瞼の上から右目を舐められた。
高「しょっぱ。」
香奈「なっ…あ、当たり前でしょ!?////」
どこ舐めてんの!と真っ赤になりながら、右目を押さえ、和成に人差し指を向ける。
香奈「あ…。い、今更だけど、これ…////」
恥ずかしいから何とか話題を変え、和成にチョコを渡す。
香奈「…そこまで期待しないでね。ちょっと苦いかもだし…」
高「うわっ!すげー!」
私の話も聞かず、和成は目をキラキラと輝かせる。
高「いただきまーす!」
香奈「えっ!?今!?」
今更ながら、和成のチョコにハート型たくさん入れるんじゃなかった、と後悔した。
*甘味、時々苦味*
お互い辛い思いしたけど、
時々なら、
苦いのもありかもしれない。