第37章 *独り占め*〜高尾和成〜
香奈「そっかぁ…。ごめんね、突然。授業の邪魔しちゃったね。」
私達が話してる間にも、先生は授業を次々と進めていく。
迷惑かけちゃったな。
高「あ、大丈夫大丈夫。いざとなったら真ちゃんの写すからさw」
緑「…高尾。」
高「あれ、聞こえてた?wわりーわりーw」
悪気も無く謝る高尾君に、はぁ、とため息をつく緑間君。
私も、これくらい話せたらな…。
結局、その後は話題が見つからず、放課後になった。
高尾君の部活は、今日は無いらしい。
…下校、誘ってみようかな。
でも、まだそんな仲じゃ無いし…。
私が悩んでいると、女子数人が高尾君の席に集まって来た。
女子「ねー、高尾君一緒に帰らない?」
女子「えー、あたしと遊ぼうよ?」
女子「ちょっと、あんたこの前一緒に帰ったばっかじゃん!私一度も無いんだけどー」
…やっぱり、無理っぽいな。
諦めて一人で帰ろうとした時。
高「ごめん、今日先約いるんだー」
そう言って、コツコツと私に近づいて来る高尾君。
私は教室の入り口に立ってたから、邪魔かと思ってよけたら、逆に腕を引っ張られた。
高「だから、また今度、ね。」
意味が分からず放心する私の手を引っ張って、高尾君は教室を出た。
玄関に行くのかと思ったら、着いたのは空き教室。
カチャ、と鍵を閉める音が響く。
香奈「た、高尾、君…?」
一歩、一歩と距離を縮める高尾君に合わせるように、私もジリジリと後ろ向きに歩く。
…と、背中に壁が当たって、マズイと思った時には、もう遅かった。
『ドンッ』
高尾君と壁に挟まれ、身動きが取れなくなる。
高「…今日、初めて話してくれたよな。」
香奈「う…うん?」
高「…真ちゃんの事、好きなの?」
…えっ…
何で!?
もしかして、緑間君のお汁粉の話したから…?
香奈「ち、違うよ!私、緑間君の事は普通の友達だと…」
高「…本当?」
香奈「本当、だよ…。」
高「良かったぁぁぁ…」
さっきまで真剣な顔だった高尾君が、安堵のため息をつく。
だけど、すぐに申し訳なさそうな顔になった。