第37章 *独り占め*〜高尾和成〜
高「あー、俺、真ちゃんに嫉妬しちゃったわ…」
香奈「?
それ、どういう…んっ////」
『チュッ』
突然の事で、思考が追いつかなかった。
だけど、私今…
高「…わり、可愛くて、つい。」
今の、って…
キスされた…!?
高「本当、ごめん。」
私が動揺していると、辛そうな顔をして、高尾君が教室から出ようとする。
その後ろ姿を見て、私は、いても立ってもいられなくなった。
香奈「っ…待って!」
高尾君の制服を、ギュッと握る。
高「香奈ちゃん?」
香奈「行かないで…。」
高「…そんな事したら、もう一回キスしちゃうかもよ?」
いいよ、高尾君にだったら。
でも、その前に、言わなきゃ。
香奈「私…高尾君の事が、好きです。」
ここで好きって言ってもらえたら、キスしてくれるかな?
優しく、抱きしめてくれるかな?
もう、片思いじゃ嫌だ。
だって…少しでも可能性があるなら、その上を目指したいじゃない。
高「あーあ。…俺から言おうと思ってたのに、何で言っちゃうかなぁ。」
香奈「へ…?ご、ごめんねっ!」
高「そんなとこも、好きだけどさ。」
そう言って、振り返って私と向き合う高尾君。
高「香奈ちゃん。俺と、付き合って下さい。」
香奈「は、はい…っ!」
精一杯の返事をして、この一言で高尾君の彼女になれたんだと、実感した。
今までにないくらい、嬉しい。
高「んー…やっぱり敬語は俺のキャラに合わねーなぁw」
香奈「そう?素敵だったよ?」
ふふっと、可笑しくてつい笑ってしまう。
高「その笑顔、俺だけのね!」
香奈「…うん。」
私達は二人で微笑みながら、
指を絡ませて、
その距離を…無くした。
*独り占め*
横顔だけじゃ足りないの。
あなたの照れたようなその笑顔も、
私だけに。