第37章 *独り占め*〜高尾和成〜
香奈side
ずっと、好きで。
ずっと、想ってた。
だけど君は遠くて。
この距離が近づけばいいのにって、ずっと…
香奈「だからって近すぎだと思わない!?」
昼休み。
屋上で友達とお昼ご飯を食べながら、私は遠慮なく大声を出す。
ここには私たちしかいないし、別にいいもんね。
クラスメイト「えー、そう?別に、近すぎなんて事はないと思うけど。」
香奈「だって…隣の席だよ!?」
私、遠野 香奈は、秀徳高校一年生。
地味ってわけじゃないけど、そこまで男子と話す事のないタイプの私は、高尾君と同じクラス。
高尾君は明るくてクラスのムードメーカー的存在だったから、目立っていた。
そして私は、そんな高尾君に…恋をした。
だけど、かっこよくて明るい彼は、やっぱりモテモテ。
一方私は何も出来ないまま、ずっと片思いを続けていた。
本当はもっと近くなりたいけど、自分からなんて無理。
そんな私に、今日、奇跡が起きた。
クラスメイト「良かったじゃん、愛しの高尾君と隣の席になれてさ。」
そう。
私は、今日の席替えで高尾君と隣になってしまった。
しかも、高尾君は窓際の一番後ろ。
つまり、横顔を独り占め…ってやつですよ。
香奈「無理だって!緊張して話せないし、変な奴って思われるし、見てるのバレちゃうし、女子の反感買う事になるし…」
クラスメイト「今日席替えしたばっかじゃん。まぁまぁ、そう悪くないかもしれないよ?」
香奈「ううー…」
五時間目は、ちゃんと話せるかな…?
…五時間目なう。
何か、話題、話題、話題…!!
うーんと悩んでいると、斜め前…つまり、高尾君の前の席に、緑間君がいるのが見えた。
…これだ!
香奈「たたったっ高尾君!」
高「ブッww何今のwたたったってリズムゲームかよw」
…第一印象、終わった。
だけど、せっかく話しかけたんだし、今からでもちゃんと会話すれば…!
香奈「緑間君いつもお汁粉飲んでるよね!美味しいのかなぁ!?」
高「んー?さぁ、どうだろーな。俺的にはすごい甘そうだけどw」
…そう、ですよね。
っていうか、何で緑間君の話してんだろ…私。