第32章 *10個*〜森山由孝〜
「んー、そうだな…。例えば、首筋触ったら可愛い反応するとこ、とか。」
そう言って、私の首筋をつうっとなぞる先輩。
先輩の指が滑っていく感触に、思わず、
「ひゃ…!う、や…、やめて、くださ…っ」
なんて声を出してしまう。
恥ずかしくて、死んでしまいそうだ。
しかも、森山先輩がわざとつけたのか、それともたまたまなのか、マイクはONになってて、声が部屋に響く。
「耳も弱いな。…指の間も。」
首筋の指を、次は耳に添わせる。
耳に気を取られてると、手を持ち上げられ、指と指の間を先輩がペロッと舐めた。
「ひゃう…っ!先輩…それ、好きなとこじゃなくて、弱点…!」
「香奈の弱点、好きだよ?俺は。」
その笑みに、恥ずかしくなる反面嬉しくもあって、先輩にやめてなんてことは言えなかった。
結局、それからも七個言われて、しかも実際にされて、残りは一つ。
太ももに触れられるのとか、唇を指でなぞられるのが弱いってこと、先輩は全部知ってる。
「先輩、次、最後…です…っ」
確かに弱点ではあったけど、息切れする程じゃなかったはず。
ただ、緊張で息をするのを忘れてて、浅い呼吸を繰り返していた。