第8章 カコのあたしと赤司君
その瞬間、怖くなった。
赤司君のあの目が、大好きだったあの目が怖くなった。
赤と橙の2色の目で見つめられると、体が動かなかった。あたしを見る目の冷たさが、今でも脳裡に浮かぶ。
悔しい。泣きたくないのに、涙が止まらない。
思ってもない事を、あんなにまで言われるなんて…
ホントウニ?
『っ…』
ホントウニ見返リヲ求メナイ人間ナンテイルノ?
『っ…やめて…やめてよ…』
偽善者ブッテルノハ、ダーレダ?
『…』
そうか、これはあたしの心の声。きっと本心だ。きっと心のどこかで、赤司君と付き合える可能性を期待していた。
『あたしはただの…偽善者だったんだ』
あたしはその時から、利益、不利益を考える汚い人間になった。