第8章 カコのあたしと赤司君
『えっと…久しぶりだね、赤司君』
「…悪いが、僕は君を知らない」
『…えっ』
改めて赤司君の顔を見る。
綺麗な赤色だった右目だけが、橙に変わってる。
喋り方も、以前より少しキツイ。
そして一人称が、僕になっていた。
「話はそれだけか」
『あ、いや…えっと、赤司君に言いたい事があって…』
「なら早くしてくれないか」
大丈夫、しばらく会ってないから忘れられただけだよ。髪も思いっきり切っちゃったし、うん。大丈夫。
『あ、赤司君は忘れたと思うけど、あたしは赤司君とそれなりに話してたんだ。その時、気付いちゃったの。ううん、多分であった時からそうだった』
…あれ?そう言えば、敦の口から最近赤司君の話聞いてないっけ。
…あれ?そう言えば涼太が、最近の赤司っちは苦手ッスとか言ってたっけ。
…あれ?さつきが、皆変わっちゃったって言ってたっけ。
…あれ?そう言えば。テツの笑った顔って、最後いつ見たっけ?
この先を口にしてもいいのか。
いや、もう止まらない。止まれないんだ。
"頑張れ"
大丈夫だよ、大輝。あたしも頑張るから。
『赤司君の事が好きでした。ずっと、好きでした』
伝えた。伝えたんだ、あたし。
「…で、僕にどうしろと」
『…え?』