第8章 カコのあたしと赤司君
そして新学期。
昨日は雨がひどくて、急遽サッカー部は休みになったため、大輝とは会っていない。その大輝を校門で見つけた。
『おっす大輝!一昨日ぶりだねぇ!1日会わなかっただけなのに、なんかまたデカくなった?』
「…別に」
『…大輝?』
「…悪ぃ、先行くわ」
大輝の目は、光を失っていた。怖くなったあたしが足を動かせたのは、それから5分後の事だった。
教室に着き、クラスメイトである敦に話しかける。
『敦、おはよー』
「おはよーちん。ねぇ、お菓子持ってるー?」
『朝から?持ってるけどまだダメ。せめてHR終わるまで我慢しなさい』
「ちぇーっ」
「おはよーッス、っち!」
『涼太。おはよ』
「朝から紫っちにお菓子ねだられてるんスか?ほんと最近よく食べるッスよね、紫っち」
「だってお腹空くんだもん」
『ちょ、やめてよ。まだ成長するつもり?いつか踏みつぶされちゃいそうなんだけど。あ、そうだ。朝大輝の様子が変だったんだけど、何かしらない?』
「…知らなーい」
「…俺も同じくッスわ」
…ウソ。2人は絶対何か知ってる。だけど聞けない。踏み込んではいけない気がする。
『…あっそ。それよりあんたら、宿題ちゃんとしてきたの?』
「あ、そうだ。ちん見せてー」
「俺も!やばいんスよまじで!」
『…言うんじゃ無かった』
これでいいんだ。2人には関係ない事。大輝はあたしが何とかしてみせる。大輝はあたしの…大事な友人だから。