第8章 カコのあたしと赤司君
『…その感覚はごめん、あたしには分からない。けど、やっぱり大輝にはバスケを続けててほしい。勝手な意見なんだけど…あたし、大輝がバスケをしてる姿が好きだからさ』
「…んだよ、告白かよ」
『ばーか、違うっつーの。てか、一言言わせてもらうなら、調子のんなバカ!』
「…は?」
『だってそうじゃん。てかまだ中学生なんだし、大輝より凄い人なんていっぱいいるよ。だから、やめないでよ』
悔しい。大輝の力になれない事が悔しい。勝手な思いを押し付けて、これじゃ追いつめてるのと変わらないんじゃ…
「…はっ、ばーか。テツと同じ事言ってんじゃねーよ」
『へ?テツ?』
「昨日、テツにも同じ事を言われた。やっぱお前に言って良かった。サンキューな、」
『…何よ、それ。大輝のくせに!』
「テツはバスケの俺の大事な相棒だ。そんでは俺の大事な…ダチだからな」
『…大輝のくせに!!!』
「ははっ!早く行こうぜ!スッキリしたら腹減っちまった」
そっか、大輝の力になれたんだ、あたし。それに、すごく嬉しい言葉も聞けたし。
『大輝!』
「あー?」
『大輝はあたしにとっても大事な大事な友達だよっ!』
「…へーへー///」
それから大輝はいつもの大輝に戻った。話に聞けば練習にもきちんと出てるみたいだし。
ある日の放課後、洗濯をしに共同の洗濯機まで歩いた。洗濯機まで行くにはバスケ部が使ってる体育館を横切る。あたしはこれが楽しみだったりする。
けど、久しぶりに通るこの道の目的は、いつものように赤司君ではなく、大輝だった。
『大輝は…っと、おーおーやってる。なんだ、楽しそうじゃん』
「やぁ。久しぶりだね、さん」
『え?っ!赤司君!?』
「今ちょうど休憩中なんだ。さんは洗濯かい?」
『は、はい!これを新しく洗濯して、今洗ってるのを回収して…』
「ははっ、説明ありがとう。それより、どうして話しかけてくれなかったの?」
『えっ?』
「廊下とかですれ違ってるのに、声もかけてくれないじゃないか」
『そそそれは…って、気付いて…?』
「もちろんだよ。オレは待ってたんだけどな」
ちょ、何これ!?もしかして、もしかしていい感じだったり!?