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隣を歩くのは

第8章 カコのあたしと赤司君


結果、ぶつかった。うわ、なんてベタなんだろう。

見事に散らばったプリントが目に入る。ていうか、あたし誰かにぶつかったんだっけ!?



『すすすすみません!少しボーっとしてて…』

「いや、こちらこそすまない。考え事をしていて…」


ぶつかった瞬間、びっくりした。だってこの男の人、すごく綺麗なんだもん。



「大丈夫かい?どこか、打った?」

『いいいえ大丈夫です!ほんと、すみませんでした!』

「オレの不注意だよ。これ、拾えばいい?」



なんとそのお方は散らばったプリントを一緒に集めてくださいました。少女マンガだとここで手が触れ合ってドキリとして…



「はい、これで全部だ」

『…ありがとうございます』



…ですよねー。世の中そんなベタな事でありふれてないですよねー。



「サッカー部?」

『あ、はい。マネージャーしてるんです』

「そう。大変でしょう」

『いや、まあ慣れたって言うか…』

「ははっ、有能なんだね。バスケ部に欲しいくらいだよ」

『いやいや褒めすぎです…って、バスケ部?』

「そうだよ」



…バスケ部かい!ちょっと大輝、涼太、敦、テツ、さつき!こんな綺麗な人がいるなら紹介してくれてもいいじゃんか!



『そうなんですか!バスケ部にはあたしの友人もいるので、仲良くしてあげてくださいね!』

「ははっ、君は面白いね。オレは赤司征十郎。君は?」

『あ、です…』

「さんか。すまないがオレはもう行かなくちゃいけないんだ。今度学校であったらゆっくり話そう」

『は、はい!!!』





ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!!!心臓がうるさいんだけど!

あたしは赤司君の背中を最後まで見送る。真っ直ぐに伸びた背筋でさえも綺麗だ。世の中にはあんな綺麗な男性もいるんだ。

…大輝とは大違いだな。



『…どうしよう。








…好きになっちゃった』












、中学2年の春。





初恋をしました。
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