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隣を歩くのは

第7章 宿泊してみました


赤司side



はどうやら怖がっているみたいだ。それもそうだ、過去を探られるのは誰だっていい気はしないだろう。だが、前に進むためにはこれは必要な事だ。



「構わないよ。僕が答えられる範囲内限定でだけどね」

千明「…やっぱ無し。せっかく楽しいお出かけなんだし」


話を逸らした池端に対し、はゆっくりと息を吐き出した。そして安心したように瞼を閉じた。



千明「…寝たみたいね」

「こうなる事が分かってたんだろう?」

「さんはいつも車の中では真っ先に寝てしまうタイプですから」

「最初に話を投げたのは、この事については口を出さないということを認識させるためか」

千明「さすが赤司征十郎。評判通り頭はキレる」

「それで、質問とやらは何だい?」

千明「その前に、今から質問する事には全部正直に答えてくれるって約束してもらえるかな」

「構わないよ」

千明「まずは私から。一体どういう魂胆でに近づいてるわけ?」

「興味を持った。キセキ達はやっかいな性格を皆が持っているからね。そんな奴らがどうしてあんなにもに懐いているのか知りたくなったんだ。まぁ、今はそれだけじゃないけれどね」

千明「?」

「彼女自身に興味を持った。は自分の事を後回しにして回りを見る癖がある。それは僕には到底理解できない事だが、その優しさに惹かれたんだ。だから、もっと知りたくなった」



これは事実。嫌っている僕にでさえもは優しい。偽善者が優しさを取り繕っている光景ならいくらでも見てきた。はたしてはどうなのか。

…言いながら思った。きっと彼女は、そうではないから。




「次は僕の番です。赤司君はこれから、さんを泣かせることがありますか?」

「…難しい質問をするね、テツヤ。それは分からない」

「…あっさりと答えるんですね」

「分からないだけさ。けど、僕はを泣かせたくない」

「…だそうですよ、青峰君」

「…今の言葉、忘れんなよ赤司」

「大輝は随分に執着するね。嫉妬かい?」

「そんなんじゃねーよ。ただ…はバスケ以外で手に入れた唯一の俺の理解者だ。大事にしてーんだよ」



大輝の背中が、物凄く大きく見えた。
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