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隣を歩くのは

第5章 変化


『…あの、赤司君』

「なんだい?」

『赤司君の定位置は一番前、そう決まってたはずだよね?』

「誰がそんな事を決めたんだい?空いているならどこに座ってもいいだろう」

『それはそうなんだけどね。あたし講義は1人で聞く派だから』

「奇遇だね、僕もだ。大丈夫、講義中は話しかけたりしないよ」

『そういう意味じゃねぇよ』




なぜか講義では赤司君が隣に座って来た。意味が分からないなりにも授業に集中するために教授の話に全神経を集中させる。

…が、今日の講義はつまらないと有名だった教授によるもの。拍車をかけるように興味のない分野だから余計につまらない。


スマートフォンを取り出すと、ラインのメッセージが溜まっていた。大輝達キセキからと、來未とちーちゃんからだった。というかいつものメンバー全員から来てるし。

内容はやっぱり赤司君の事。大輝には会ったからしょうがないとして、なぜ涼太や敦まで知ってるんだ。まぁどうせ大輝が広めたんだろうけど。

ちーちゃんからはいつものおふざけメッセージだった。あたしも同じように返す。


いろんな人たちをやり取りをし楽しくなってきたあたしは、講義そっちのけでスマートフォンをいじりだした。




すると、机に広げていたノートに赤司君がサラサラと字を書きだした。あたしのノートに。書き終えた文字を見ると、



―講義に集中しろ



との一言が、それはそれは綺麗な文字で書いてあった。その無駄に綺麗な字にもイラッとし、負けじと自分の中の一番綺麗な字で赤司君のノートに書いてやった。



―集中させるような講義をしない教授にも非があるとおもいませんか


―なるほど、たしかに一理あるな。だが他の講義を受けている大輝たちの邪魔をするのはいただけないな


―向こうから送って来てるんですー。あたしはそれに返してるだけですー。ていうか見ないでよ

―すまない、見えただけだ。…そうか、なら僕も混ぜてくれ




『ぶふぉっ』

教授「?どうしましたか、さん」

『いえ、すみません。何でもありません』



いやこれは笑うだろう!だってあの赤司君が"僕も混ぜてくれ"!?これは笑うだろう!
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