第3章 子供
そして夜。
バイトが終わり次第速攻買い物を済ませ、いそいそと鍋を作る。ちーちゃんは陸上部、大輝とテツとさつきはバスケ部に入っているから、きっとお腹すいてるんだろうな。
いつもよりご飯を多めに炊き、準備が済んだと同時にインターフォンが鳴った。
「入るぜー」
「お邪魔します」
「お邪魔します!んー、いい匂い!何か手伝う事あるー?」
「さつきは絶対手伝うな」
「大ちゃん酷い!」
千明「こんちはー。、酒買ってきた!」
『ホントー?助かるよちーちゃん!』
「おっ!ビールもあんじゃねーか。気が利くなァ、池端」
千明「誰が青峰にやるっつったよ。私はに持ってきたんだよ」
「テメェ…」
という大輝とちーちゃんの喧嘩はもう慣れたものであり、テツとさつきはせっせと準備を手伝ってくれている。
『さ、お腹もすいてるし食べよ!』
あたしの言葉で喧嘩していた2人も手を休め、鍋の中の具材を箸で掬っては口にしている。今日は寄せ鍋だ。
わいわいといろいろな話をしながら食事をしていけば、同じようにアルコールも摂取していく。今年で誕生日を迎えた皆はもう未成年じゃない。
千明「そう言えばさ、帝光中の地区の成人式っていつ?」
『うーんと…たしか成人の日だよね?さつき』
「そうだよ!ちーちゃんの地区は?」
千明「私のとこもその日だよ。皆一緒でいいなぁ」
「池端さんは別の地区ですもんね。それならば大学で一緒に写真を撮りませんか?」
千明「えっ!?いいの!?」
「もちろんだよ!私だってちーちゃんと写真撮りたいし!ね、大ちゃん!」
「あ?めんどくせーy」
『大輝は相変わらずめんどくさい奴だなぁ。ちーちゃん、写真撮ろっ!!!』
千明「…うわーん!皆大好きだぁぁぁ!!!」
そう、今年は成人式。あと3週間もすれば成人式を迎え、本当に大人になる。今は20歳を超えたとしてもまだ、子供。
『もうすぐ大人、かぁ…』
「…そうだね」
「きっと何も変わりませんよ、僕達は」
千明「青峰なんか特にね」
「んだとコラ。…ま、俺達は俺達だろ」
大輝があたしの頭をクシャッと撫でる。子ども扱いされたように思えたあたしは、大輝のお腹を軽くパンチしてやった。