第3章 子供
赤司side
「今日の練習はここまで」
「だー!疲れた…つーか赤司、俺らももう年なんだから、中学の時と同じメニューなんざこなせるわけねぇだろ!」
「とか言いつついつも一番元気にこなしているのは大輝じゃないか」
「そっすよ青峰っちー。老いって言葉が一番似合わないのは青峰っちのくせに。ね、黒子っち!」
「…」
「あー、黒ちん死んでるー」
「オイ、こんな所で寝るな黒子」
高校に上がって一度はバラバラになったキセキの世代が、今こうして再び同じコートで練習をしている。
高校時代、WCでテツヤと戦ってから皆少しずつ変わってきた。…いや、変えられてきたと言った方が正しいかな。とにかく皆がこの集英大学に入学し、またバスケが出来る今を僕は楽しんでいた。
「オイテツ、大丈夫か?さつきィ、テツに何か飲み物とってくれ」
「はーい!…テツ君大丈夫?家まで送ろうか?」
「大丈夫です。それに今日は約束したじゃないですか」
「…だな。じゃあ俺ら上がるわ」
「何かあるんスか?」
「あー、飯だよ、飯」
「えーまた~?峰ちんばっかずりーし」
「んだよ、なら紫原も来いよ」
「俺今日用あるしっ。別にいいしィ。俺明日行こーっと」
「なら俺も行くッス!今日はモデルの仕事あるんスよねー」
「黄瀬ちんは呼んでないしー」
「ひどっ!!!」
また、か。最近になってようやく気付いたのだが、いつもキセキ達が話しているのは、キセキ達間での約束じゃない。そこには必ずある第3者がいるのだ。
別に練習の邪魔をしているわけでもないが、やはり気に食わないじゃないか。いつも何かしらそいつの話題が出るなんて、気に食わないじゃないか。
なんて、駄々をこねるほど僕も子供じゃない。大学生にもなった今、アイツラの友人関係にまで口を挟むつもりはない。