第9章 お泊り~後編~
翌日。
あれからすぐに深い眠りについたあたしは、窮屈を感じて目が覚めた。
「あぁもうっち起きたじゃないッスか!まだ写メ撮ってないのに!ていうか赤司っち!そこどくッス!俺のポジションなのにぃぃぃ!!!」
「何言ってんの黄瀬ちん、ヒネリつぶされたいの?そこは俺の場所に決まってるしー」
「それ、僕も混じっていいですか」
「は、破廉恥なのだよ!!!」
『…何してるんですか、君達』
瞼を開くと、目の前には涼太、敦、テツのドアップがあった。仮にもイケメンと称される皆の顔は、見慣れた今でも朝一だと心臓に悪い。
…ていうか、隣が妙に近いし温かい。首を動かせないくらいに近い。大方大輝だろうけど。
『ちょ、大輝。いくら何でも近すぎだから』
「俺はここだぜー」
『…は?じゃあさつき?』
「私はここだよ」
…ちょっと落ち着こうか。來未とちーちゃんは既に見えてるから違うとして。
…涼太は何て言ってたっけ。
"赤司っち!そこどくッス!"
…赤司っち?
ぐぐぐっとどうにか顔だと思われる部分を引き剥がす。うん、嫌なものが見えたよ。髪、赤かったよ…
「ん…」
ちょ、何!?何でそんな色っぽい声を朝から出せるの!?って違う違う違う!!
『あ、赤司君!はやく離れて!ていうかあり得ないから!』
「あー、」
『何よばか大輝!あたし昨日の夜、あんたが無視したこと怒ってるんだからね!』
「そうじゃなくて…」
『うるさい!ちょ、赤司君はいい加減に離しなさい!』
痛みを与えるくらいの力で赤司君を思いっきり引き剥がす。するとゆるりと赤司君の腕が離れた。少しホッとして、完璧に引き剥がそうとした瞬間…
「…うるさいよ、」
『ひっ!?』
思いっきり睨まれました。ええそうです、とても怖かったですガクブル。
「…だから注意しようと思ったんじゃねぇか。赤司は超低血圧で、朝は機嫌悪いんだ」
『…早く言えばかやろー!』
そうですね、はい。あたしが悪いです。他人の話は最後まで聞きましょう。