第9章 お泊り~後編~
それから赤司君はずっとくっついてきた。暖かいんだけど、お茶すらも飲めないし。
なんかもう過去の事なんて本当にどうでもよくなった。
いつまでも止まるなって事か。
「ねぇ」
『今度は何』
「大輝たちは全員名前呼びだよね」
『あぁ、そうだね』
「僕も征十郎って呼んでよ。普通なら僕を呼び捨てにするなんて許さないけど、は特別だよ」
『そんな特別なんていらないよ、"赤司君"』
「ははっ、酷いな」
『ていうか赤司君は再開した時から既にあたしの事呼び捨てだよね』
「嫌だった?」
『…別にいいけど』
普通嫌だろ!フラれた相手に何もなかったような顔で呼び捨て!しかも当時はさんだったし!
というか、大事な事を言うの忘れてたわ。
『あぁそうだ、赤司君』
「何だい?」
『いくら昔惚れた相手だからと言って、それはもう何年も前の話だし。もう一度好きになるなんて思わない方g』
「なるさ」
『…はい?』
「は僕をもう一度好きになる。これは予想じゃなくて確証さ」
『…随分な余裕ですね』
「まあそれを実現するにはが過去から抜け出す事が条件なんだけど」
…喧嘩売ってんのかこの男。まるであたしが過去から動けない、弱虫だって言いたいみたいだし!さっき自分で言ったけど、他人に言われたら腹立つ!
『上等だよ!宣言する!あたしは絶対赤司君を2度と好きにはならない!』
「ははっ、威勢がいい女性は嫌いじゃないよ」
『…会話が成立しない』
どうにか部屋に戻ったあたしは、真っ直ぐにある場所へと向かった。
『ねぇ、大輝。起きてるんでしょ!(小声』
「…Zzz」
『何狸根入りしてんの!ちょ、赤司君どうにかしてよ!大輝たちが変な事吹き込んだせいで、とんだ災難になったんだけど!ねぇってば!(小声』
「…Zzz」
『ぶちっ。…大輝ぃぃぃぃ!!!!(小声』