第9章 お泊り~後編~
ドキドキする。違う、あれだ。慣れてないからだ。だって慣れた大輝とかと抱き合ってもなんともないし!
だから決して変な意味じゃない!
赤司君は暫く何も話さず、微動だにもしなかった。
『あ、あのー、赤司君?そろそろ…』
「…どうして君は、そうやって他人の事ばかり気にするんだ」
『はい?』
「どうして僕に何も言わないんだ。あれだけ言い訳を言って、そんな事が聞きたくないって怒ればいいのに。…あんな事しておいて、どうして私と話せるんだって怒ればいいのに」
…なんだ、そういう事か。
『あれはもう、過去の話だよ。今更過去の話をしたって何も解決しない事は分かってる。あの人達が現れた時は急すぎて取り乱したけど…あたし、もう乗り越えたし』
「…だったら何で、こうやって1人になろうとするんだ」
『それは…』
あぁもういいや。全部言っちゃおう。
『それは、戻るのが怖かったから。皆に嘘をついて、嫌われたらどうしようって。人間の怖さはもう、痛感してるからね』
『皆を信じてないわけじゃないけど、やっぱり恐怖からは逃げられないし。それに、意図してたわけじゃないけど、皆のあんな表情を見るのが辛いから、あたしは結局、逃げただけ』
言葉にして改めて思う。自分がどれだけ汚い人間かを。自分がどれだけ卑怯な人間かを。
「…気に食わないな」
『え』
「僕よりもアイツラの方がを理解しているようで、気に食わない」
『そりゃもう何年もの付き合いですから。赤司君とまともに話したのだって最近だし』
「けどは僕に惚れてただろう」
『なっ///普通それ言う!?』
「だって事実じゃないか」
『っ…赤司君なんてもう嫌い』
「クスッ…もう、ね」
赤司君は更にギュッと抱きしめてきた。くそ、赤司君めっちゃいい匂いするんだけど。