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隣を歩くのは

第9章 お泊り~後編~


「おいで」



赤司君に手を引かれ、半強制的にある場所へと連れて行かれた。そこは老人の人達が集う場所のようなもので、それを示すように急須が置いてあった。

基本的に24時間営業のこの旅館は、ストーブも運転した。さっきあれだけ温まった体も冬のおかげで冷えたのか、ストーブの温かさが気持ちいい。



『…赤司君、寝なくていいの?』

「それを君が言うかい?ずっと寝た振りをしていたのに」

『っ…』

「バレないと思ってたのか?残念ながら、僕には心拍や筋肉の動きが分かるんだ。バレようにドキドキしていたの演技なんてすぐに分かるよ。まぁ、そういう目を持ってなくても大輝はすぐに分かったようだけど」

『…大輝にはバレてると思った』

「ははっ。おそらく今頃心配で眠れてないだろうね。追いかけたのが僕だし」

『…話、だっけ。もうしたじゃない、あれで全部だよ』

「そうじゃないよ。と僕の、これからの話だ」




これから…?あたしと赤司君の間に、これからなんてあるのだろうか。強いて言うなら、今まで通り着かず離れずで…




「僕はと、和解がしたいんだ」

『…和解?』

「仲直り、とでも言うのかな。今更だが、きちんと謝ってきちんと仲直りがしたいんだ。僕の話、聞いてくれるかい?」

『…』



言葉が出なかったから、小さく頷いた。赤司君はそれを見逃さなくて、少し笑いながらありがとうと言った。



「弁解するつもりはないよ。ただ、やっぱり僕はその話を覚えていない。それはテツヤ達が言っていた、僕が変化した時だからね。かと言って、これを言い訳にするつもりも毛頭ない。ただ、事実だからきちんと伝えたかったんだ」

『…その変わったって、大輝のアレと一緒なの?』

「原理は一緒かな。気付いたのは、大輝だけかい?」

『ううん。真ちゃんはその頃まだ話した事もなかったから分からないけど、涼太も敦もそうだった。テツも…ううん、テツは少し違ったかな』

「は本当にアイツラの事を見てるんだね。羨ましいよ。話を戻そうか。原理は一緒だが、根本的に僕は違った。あいつらは確かに変わったが、それはあいつら自身だ。僕は違う、僕は2人いて、それが入れ替わっただけだよ」

『…2人?』
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