第2章 ⚡︎ 上鳴電気 .1. √
「…オイ上鳴。」
ノートに涎を垂らし寝こけているアホの頭を叩く。
「ウェッ………寝てた?」
「寝てたから起きたんだろ馬鹿。」
呆れて溜息をつくと『ゲッやべ!よだれ垂れてる!』とかなんとか言ってる上鳴をよそに、勉強を再開する
「…なーあー、勉強もう飽きた。構って」
腰に抱きついて、きゅるん、なんて効果音がつきそうなくらいぶりっ子顔をした上鳴が俺を見上げてくる。
「…ずっと寝てたじゃんかよお前。」
折角、勉強教えに来たのに。
二人で会う口実作ってきたのに
考えれば考えるほどイライラして、『だって!わかんねえ!』なんて足をじたばたさせるめんどくさい恋人を無視してカリカリと問題を解く。
10分くらい経っただろうか、ずっと俺の腰に腕を回して、見上げていた上鳴が『…もう知らね!』なんて言いながら離れて行って、(やべ、拗ねるとめんどくさいんだよな)と思い後ろを振り向くと
ちゅ、なんて可愛らしい音がして、「やっとこっち向いた。」
「…………そんなんする暇あんなら勉強しろ馬鹿!」
二回目だろうと容赦はしない。
叩いた。
「いっっだ!痛い!ゴリラ!パワーゴリラ!!!親父にもぶたれたことないのにッッ!」
「……つか、先に……ったのは、お前だろ。」
わざと小さく、言ってやった。のに
「え、拗ねてんの?!俺が?!百瀬放って寝たから?!」
「な、聞こえて」
『先に俺のこと構わなくなったのはお前だろ』
俺はそう言った。
小さい声で、なのに聞き取ったこいつ。
やべーよこえーよ!