第21章 夏祭りの時間
鏡の前で、白地に桃色の大きめの花とオレンジや赤い小花柄が散りばめられた浴衣を着つける。
帯を締めると、先程アップした髪に修学旅行でひなのとお揃いで買った蝶が揺れ動くカンザシを刺す。
コンコンッ…。
カルマ『まぁ、準備できた?』
『お待たせぇ!』
お兄ちゃんが私をジッと見つめる。
『あっ!やっぱ着つけ下手くそだった?』
カルマ『いや…。可愛すぎて…。脱がしたい衝動が…。』
『何でそうなるのよ!笑』
私たちは祭り会場に着くとみんなが集まっていた。
ひなの『まぁ〜!つけてくれてる?』
『もちろん!』
カルマ『倉橋ちゃんとお揃いで買ったんだったね!二人共似合ってるよ。』
私たちはリンゴ飴、金魚すくい、ボールすくい、射撃、焼きそば、クジ引きと楽しむ。
お兄ちゃんがクジ引きのおじさんに何やらゲーム機をねだっている…。
みんなが暗殺技術で商品をかっさらい早仕舞いしたお店にコロ先生が分身で店を借り、儲けている。
『ひなの、私お手洗い行ってくるから、荷物ここに置いとくね。』
ひなの『行ってらっしゃぁい!』
夜店から少し離れたお手洗いから出てくると…。
『まぁ、久しぶりだな。』
『浅野君…。どうしてここに?』
浅野『まぁが一人になるのを待っていた。
A組に…僕のところに戻って来て欲しい。』
『ありがとう。でも、私はE組を出るつもりはないよ。やらなきゃいけない事ができたの。』
浅野『そうか…。だが、僕はまだ諦めたわけではない。』
そう言うと、フワリと抱きしめられる。
ひなのとお揃いのカンザシが揺れる。
浅野『必ず、手に入れてみせる。』
『浅野君…。』
カルマ『ちょっと、俺のまぁに何してんの?』