第20章 伏せ魔の時間
そこに佇む1人の男…。
男『そこにいるのは分かっているぬ。だが精鋭部隊出身の先生とやらはスモッグのガスにやられたのか。
つまらぬ。非常につまらぬ。』
バリバリバリ…。後方のガラスに素手でヒビを入れる。
私たちは思った。怖くて誰も言えないけれど…。
カルマ『おじさん、「ぬ」多くない?』
みんな(カルマがいたー!!)
男『ぬを付けるとサムライぽくてかっこいいと聞いたぬ。
間違っていても構わぬ。お前ら全員を殺してからぬを取れば何の恥にもならぬ。』
パリン…。
お兄ちゃんが植木を持ち、ガラスを割る。
カルマ『ガラスなんて俺でも割れるよ?おじさんぬ?』
烏丸『やめろ!危険だ!』
コロ『烏丸先生。大丈夫です。アゴが引けている。今までの彼なら、相手を見下し、アゴを突き出していた。
だが、今の彼は期末テストの敗北から学んだのでしょう。』
おじさんぬ『おもしろいぬ。やってみろ、少年戦士!』
お兄ちゃんがおじさんぬの攻撃をかわしている。スゴイ!
烏丸先生『俺の体育での動きを目で盗んでいたというのか。だが、あの握力。掴まれた最後、骨を折られて終いだ。』
『お兄ちゃん…。』
カルマが反撃に出る。おじさんぬのスネに蹴りがヒットし、屈み込むおじさんぬ。
今だ!!
プシュー…。
あれは…毒使いが持っていたスプレー!!
お兄ちゃん……!
お兄ちゃんに意識がなくなる。
おじさんぬ『スモッグのガスが役に立ったぬ。』
プシュー…。
カルマが同じようにおじさんぬの顔面にガスを噴射する。
おじさんぬ『何故…貴様がそれを。というか、何故お前は俺のガスを吸っていな…い?』
カルマ『当たり前じゃあん?素手以外の全てを警戒してたよ。』
そう言って、寺坂君たちと一緒にロープとガムテープで縛り上げられたおじさんぬは、何故だか楽しそうに笑った。
カルマ『えっ?何終わったみたいな顔してんの?楽しいのこれからじゃぁん!』
そして、おじさんぬの鼻の穴にワサビとカラシを詰め、専用クリップで鼻を塞ぎ、口の中には唐辛子の千倍辛いモノを入れ、猿ぐつわをされている。
かわいそうに…。おじさんぬ…。その場の全員が思った。