第8章 笑えない。
「政宗と恋仲になって3年たつけど、
やっぱりまだ自信なくて、ひなさんみたいに
器用じゃないし、料理も得意じゃないし、
なんの取り柄もないのに、政宗はいつも私に
好きだっていってくれるけど、
いつそれかなくなったらどうしようって。。。」
ポロポロと涙をおとしながらはるがいう。
私にどうしろというのだろう。
もっと私が幼くて他人の気持ちを考えられない子だったら
『あんたの悩みなんて私に比べたら贅沢すぎる
悩みだよ!!』
なんて言ってしまうかもしれない。
でも隣で泣きじゃくるはるを見てたら
もちろんそんなこと言えるはずもなく。。
「私はまだここにきて2ヶ月もたってないけど
二人を見てたら羨ましくなるくらい
思いあってると思うよ。」
あの政宗の目は本気だよ。
だってそれは私が一番知ってるからーーーー。
「うーーー。。ひなさぁぁん!!」
「うわっ!ストップ!そのまましがみつかないで!!
口ふいて!!ねっ!あっーー!」
言い終わる前にご機嫌にしがみつかれ、
私の着物に顔をすりつけて泣いてしまった。
あぁ。。。今日は鷹に追いかけられ、
嘔吐物つけられ。散々だな。。、。
そう思いつつ背中をとんとんしていると、
まさかの寝息が聞こえてくる。
「ええっ!寝ちゃったの?うそ?!ほんとに?!」
はるが絶妙のバランスで私に身体を預けたまま
寝てしまっている。
これからみんなの所へどう帰ろうと思案していると
ガサッ
茂みを掻き分けて政宗が現れた。
「なんか変な声聞こえたからきちまったが。。。正解だったか。」
「正解!!もう足つるから!はるさん
支えて!!」
切実に訴えるとひょいと政宗がはるを
横抱きにする。
「飲んで吐いて寝るとは、ほんとに迷惑なやつ。」
「ちゃんと、監督責任果たさなきゃでしょ。」
「悪いな、着物も汚したみたいで。」
私の着物の汚れをみて政宗がいう。
「仕方ないよ。洗ったらとれるでしょ。」
平気なふりをして笑ってみる。
「こいつ、いっつも自分で抱え込むからな。。。」