第6章 交錯
「……ったく、政宗さんがゆっくりいくはずないのに。」
「フッ、よい。遅れをとるな。俺たちもいくぞ、
ひな、しっかり捕まれ」
私の返事を待たずに
信長様と家康も馬を先程より早めに走らせる。
前を向いて景色を見る。
顔に当たる風が心地よい。
『落ちる!!』
『誰が乗せてると思ってんだ。前みろ、ほら。』
あの時の景色は今でも忘れない。
後ろに感じたあの暖かさも。
「ひな、馬には慣れているようだな」
頭上から信長様の心地よい低い声が聞こえる。
「はい、そりゃ何度も…(政宗にのせられたら
慣れたくなくても慣れる………)」
「何度も??」
「あっいえ、えっと。。。
500年後の時も何度も馬に乗ったことがありまして。」
危ない。
つい言うところだった。
でも500年後に何度も馬に乗ったのは間違いない。
1回800円くらいする
ただただ、100メートルほど
ぱからぱからと円を描いて走る、、、いや
歩くポニーに。
小さい頃だけど。
嘘はいってないもんね。
「………中々度胸のあるやつだ。
やはり気に入った。」
「へ??」
信長様の声は
次々と過ぎていく風と景色の中に
消えていった。