第3章 消せない記憶。
「だがまだ半月だ。わからないことあるだろうから
教えてやってくれ。」
「はっはい!!もちろんでございます!!」
信長様に直にお願いをされるなんて
早々ないものだからお妙さんは舞い上がってしまったようで
声が裏返ってしまった。
「ふふふ、お妙さん声裏返ってますよ」
「だって!!」
頬を赤らめながら顔を隠す、お妙さん。
笑いながら信長様は私に向きなおり言う。
「ひな、そろそろ家康のところへ薬の調合を
ならいにいく時間ではないか。」
「あっ、本当ですね。」
いけない、忘れてた。
でも信長様が私に用事を増やしてくれたことで
少しでもあの二人がいちゃつく姿を見る時間が減るのは
嬉しいことだった。
「妙、仕事の戦力を減らすことになるが
ひなかりるぞ。」
「はい、ひなさん、仕事早いのでもう明日で
大丈夫ですよ。」
「ふふふ、ありがとう、お妙さん。行くね。」
お妙さんにお礼をいい、
信長様と家康の元へ向かう。
「信長様、ついていっていただかなくても大丈夫ですよ。
お仕事お忙しいのに。もう場所覚えてますから。」
「別に貴様の為についていくのではない。
家康に用事がある。ところで城には慣れたか」
進行方向を向いたまま、訪ねられる。
「はい、皆様よくしていただいて。ありがたいです。」
「そうか、貴様は俺の験担ぎの為に置いている。
験担ぎは験担ぎらしく沈んだ顔ばかりするな。」
「え?なんですか、それ。」
笑いながら答えると信長様は足を止め
振り替えって私をみつめる。
「。。、。そうか。ならよい。」
少しの間のあと
再び前へ向き直し歩き出した。
「あっ、信長様。」
少しペースをあげた信長様を早足で追いかけた。