第3章 消せない記憶。
あのあと二人は私が
むこう20年は帰れないということに
よっぽどショックを受けたのだと勘違いして
必死になだめてくれた。
佐助くんはまた何かわかれば連絡するといって
天井から帰っていった。
はるは何度も私を励ましながら
とにかく今日はゆっくり休んでねといって。。。
きっと政宗のところへ帰っていった。
でもそんなこと私にはなんともなくて。
だって一生ここで過ごすと思って
タイムスリップしてきたんだから。
なにもかも捨てて、
あなたと一緒になりたいって思って帰ってきたのに。
まさか
待ってくれてると思ってた人が消えてしまったなんて
思わなかった。。。
「…………っ。。。」
二人が出ていってから泣きはらした目を
見られたくなくて夜ごはんの誘いも断った。
だめだ、ちょっと頭を冷やそう。
身体をおこし、襖をあけると
もう月明かりが照らす時間になっていた。
お水をのもうと台所へすすむ。
「………………あんたどこいくの?」
ビクッ!!!
後ろを振り替えると
壁にもたれ掛かって訝しそうに私を見る家康がいた。
「……おっ、お水を飲みに。。。」
「……ふーん。なんか前から知ってるみたいに
歩いてたけど。」
………。
いつから見られてたんだろう。
でも、ここで実は戦国時代に来たのは2回目で、
実はすべて知ってますなんていったら
とんでもないことになりそう。。。
絶対に言えない。
悟られちゃいけない。
私は必死に笑顔をつくっていう。
「わたし、覚えるの得意なの。今日はるに
色々案内してもらったから。」
嘘。
ほんとは前の時にここを、全部把握するのに
一ヶ月かかったもん。
でもいまはこれくらいしかいいわけが思い付かない。