第16章 重ねて

「ーっ！じゃあさっきの。。。」


先ほどの一連の流れを思いだす。


「戯れだ。貴様が必死だったのでついからかいたくなった。」


意地悪そうに笑いながら言う。


「なっ！！そんな！！
　真剣だったのに。」


「わかっている。
　だが話を聞けと言ったのは貴様だしな。
　聞いてやることにした。」


「そういう聞いてくださいって事じゃないです！！」


「貴様はあまり自分の主張をせんから
　珍しくしてきた事を聞いてやるのも俺のつとめだろう。」


「なっ！」


「あぁやって思ったことを
　しっかり言葉にするのは大事だぞ。」


そういいながらぽんぽんと頭を撫でられる。
大きな手は私を包み込むように優しく
思わず怒ってる事を忘れそうになる。



「なら信長様だって、言葉にしていただかないと。。」



少し頬が赤くなるのを感じながら言う。


「あの。。。信長様。。、」



あっ！！
秀吉さんがいたことを思わず忘れてしまって
信長様としゃべってしまっていた。




「なんだ秀吉、まだいたのか。用がすんだら帰れ」

「はっ！」

「やっ！はいじゃないから！！
　ごめんなさい、秀吉さん。
　私すぐいきますね！！」



そう言って急いで立ち上がり
はっ！と気づいて秀吉さんに振り返って言う。



「夜伽じゃないですからね！！」



改めて念を押し、部屋をあとにした。




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「コロコロ変わるもんですね、表情が。」


私が嵐のようにバタバタと部屋を出た後
秀吉さんがつぶやく。

「昔のひなは、
　ああだったんだろう。」


「昔？」


「……いや、まぁよい。
　とにかく政宗に好きにしろと伝えろ。
　まぁ言われなくともそうするだろうがな。」


「はぁ。。」


秀吉さんが腑に落ちない顔をしながら
返事をした。