第13章 平穏。
「はい、あんまり抱きつきすぎると
傷口さわってなくても擦れちゃうからおしまい。」
家康が私の肩をふわっと抱き
はるを離す。
「あっごめんなさい、大丈夫ですか??」
大きな瞳を見開いてはるがいう。
「うん、大丈夫。」
「でも家康も抱いてるくない?!」
離された家康をキッとはるがみていう。
「俺は主治医特権。」
にやっと笑って私を覗きこまれ
肩においた手を
抱き込まれるようにおでこにあてられる。
ーーーちっ近い!!
「熱はないみたいだし、大丈夫みたいだね。」
「わっもう!!別に普通におでこにあてたらいいでしょ?!」
顔が一気に赤くなるのがわかって
はずかしくてすぐに、家康の腕をはらう。
「なんだお前ら看病してる最中にそんな関係になったのか。」
光秀さんが意地悪そうに笑いながらいう。
「や!そんなことありません!!」
「別に特にこれといって。」
ふわっと笑いながら家康がいう。
おかしいーーー。
とにかく家康が甘やかしすぎて
患者だからという域をこえてるような。。。
とにかくドキドキ心臓がなるのが
忙しくてかえって悪化してるんじゃないかと
思ってしまう。
「ひな元気そうでなによりだ。」
威厳のある声が響く。
信長が入ってきた。
「今夜は夜伽を命じてもよいぞ?」
「なっ!結構です!遠慮しておきます!!」
「おい!ひな!信長様の夜伽を拒否するとは!」
秀吉さんがあわてていう。
「いやなもんはいやです!!」
「いやだと?!」
「ふっ、よい。そこまで返す元気があるならなによりだ。
妙も早くひなに戻ってきてほしいと
いっていたぞ。」
「そうなんですね!まだ細かいのは難しいかもですが
今日から行くつもりです。」
お妙さんも心配して何度も顔を出してくれた。
今日仕事に戻れると思うと
思わず顔もほころんでしまう。
安土から遠ざけてといったけどーー。。
ここにまだ私の居場所がある気もして
まだ答えがみつかっていない。
別に黙って、出ていくこともできるのに
信長様の言葉を理由にして
ふんぎりがつかない自分がいた。
『俺がここにいろと言っている』
そういってくれる人がいるだけで
少しの平常心を保つことができている気がした。