第12章 懺悔。
「貴様が自分のことを嫌いでも
俺は貴様を気に入っている」
大きな手が私の顎にふれ
上に向けられる。
端正な顔立ちがわたしの目の前にあった。
「ーーっ!」
顔が一気に熱くなる。
「天下人の気に入りだ、喜べ。」
にやっと笑うと顎にあった手が
私の頭をくしゃっとなでる。
「ゆっくり休め。」
そういってたちあがる。
「………すみま………」
私が謝ろうとするとすっと見つめられる。
「あっ。、、いえ、、えっと。。。
ありがとうございます。」
「それでいい。」
襖をあけ、でていこうとする信長様の動きが止まる。
「信長様??」
「自分のことを嫌いな貴様のことが
気になる物好きはまだまだいるらしい。」
「???」
しゃがんで振り替えると
信長様の手には
薬と白湯がのったお盆がある。
家康だ。
「しっかり飲んで休め。」
信長様が私の前にお盆をおき、
やさしく笑うと
静かに部屋をあとにした。
お盆には小さな紙に
"寝る前に飲んで"
とかいてある。
「ありがとう。。。」
小さくつぶやき
薬を口にする。
「苦っ!、」
ほろ苦い味が口のなかに広がって、
急に眠気が襲ってくる。
全部残さず飲んで
また、私は死んだように眠りについた。