第12章 懺悔。
身体を起こそうとする。でも鉛のように重くて。
家康が私の手首にに手をあて脈を測る。
「頭とか痛い?特に内出血みたいなものもなさそうだし
大丈夫だとは思うけど。。。」
心配そうに家康がきく。
私の記憶のなかで、頭を打ったことはない。
あるのはーーーー
ザクッーーーー。
音が鮮明に残っている。
刀で切られるってあんな音がするんだ。。。
なんとなく他人事のように思える。
でもそれを右腕の痛みが
自分自身だと思い知らせている。
「………たぶん………ない。」
痰のからまったガラガラで
消え入りそうな声しかでなかった。
喉もカラカラだ。
その気持ちを察してか家康が言う。
「水のむ???」
コクコクとかろうじて動く首を動かすと
「起こすよ?」
たくましい腕が私の頭の後ろに入って
ぐっと持ち上げられた。
「はい。」
私の身体を支えたままで
あいた左手でお盆の上にあった湯飲みを
私の口許へ運ぶ。
ちっ近いーーーー。
整った顔があまりに近くて
なんか変に緊張してしまってる自分がいた。
でも喉の乾きに負けて
ごくっと水をのむ。
ぴりっと喉が痛む感覚があるけれど、
満たされる感じがする。
「あっ、、ありがとう、、自分でもう持てるよ。」
喉が潤されたからか今度はちゃんと声が出た。
満たされると同時に
また恥ずかしくなってきて
痛くない左手で手を添えいう。
「だめ、利き手痛くて使えないでしょ。
こんな時くらい甘えたら?」
まっくず見つめていわれると
またそれに緊張してしまい、
言い返すのもなんだから
観念してまた残りの水を飲んだ。
静かな時間が流れるーーーー。
だだだだだだだ
「「「ひな!」様」」
目の前の家康が
おもっきり顔をしかめたのがわかった。