第14章 ファンクラブ
「ミロカロスの進化前のヒンバスは、育成に途方もない時間がかかる。でもね、なつき進化にしてもその時間の中で徐々に美しさとレベルが高まっていくの。だけど、綺麗な鱗を持たせての通信交換は、その時間全てすっ飛ばしてるからあまり美しさもレベルも高くないの。だって、生まれたばかりのヒンバスに綺麗な鱗を持たせて通信交換することだって出来るんだから」
「成る程...手間をかければかけるほど、ミロカロスの美しさとレベルは高まると」
「そーゆーこと。私が今まで見てきたミロカロス、みんな美しさかなつき度が最大限になってからの進化だったから」
フェリシアの経験談及びヒンバスからミロカロスへの進化方法の話に、野次馬は食い入るように聞いていた。
まぁ、受け入れたくない、という人物もいるようだが...
「何よ!進化方法で美しさが変わるなんて聞いたことないわ!」
金切り声をあげて地団駄を踏む愛宮。
「ミロカロスのトレーナーなら、自分で調べときなさいよ」
「ぐっ...」
「それに...」
「そのミロカロス、『本当に』貴女のポケモンなの?」
「え...?」
誰かが声をもらした。
「な、なに言ってるのよ!当たり前じゃない!」
「じゃあ、その子とはどこで出会ったの?」
「え?」
「貴女のポケモンなら、出会った時のこともよく覚えてるはずよね」
冷たく愛宮を見据えるフェリシア。
「こ、この子は...パ、パパがくれたのよ!」
「それはヒンバスの時?それともミロカロスだった?」
「ミ、ミロカロスよ!」
「そう...ならもうひとつ質問。その子、誰が育てたの?」
「そんなの、この私に決まってるじゃない!」
「じゃあ、ミロカロスの手入れの仕方、知っているよね」
途端、顔が真っ青になる愛宮。
「えぇっと、それは...」
先程までの高圧的な態度はどこへやら、一瞬で挙動不審になる愛宮。
「答えられないってことは、貴女が育てた訳じゃないってことね...てゆーかさっき、育成は他人に任せてるって言ったし。それに、『取り寄せた』とも言ったわね」
「ってことは...」
「自分で手入れもせず、育成は他人に任せた...この様子だと、ミロカロスも正規ルートで入手したって訳じゃ無さそうね」
「どういうことだい?」
幸村が声をかけた。