第14章 ファンクラブ
「元々、ミロカロスは野生では生息してないし、ヒンバスも生息数や生息域が少ないポケモンだもの。ゲットするにも骨が折れるわ...そのせいで、密猟の被害にあうことも少なくない」
誰かが息を飲む音が聞こえた。
「違う!違うわ!私は正規ルートでミロカロスを貰ったわ!」
すでにお嬢様の風貌が霞むほどに髪を振り乱す愛宮。
「じゃあ、誰から貰ったの?」
「だからパパだっt「質問を変えるわ」何よ!」
「どこの業者から貰ったの?」
「そ、それは...」
再び狼狽える愛宮。
「言えないような業者から貰ったの?それこそポケモンハンターのような」
「違うわ!ヒンバスを持っていたトレーナーと取引しただけだもん!」
「取引?」
「そうよ!ニッポン地方のポケモンリーグの挑戦権をあげる代わりにヒンバスをちょうだいってパパから言ってもらったの!」
「その相手はそれを承諾したと?」
「ええ、かなり渋ってたけど、他の手持ちがどうなってもいいのって言ったらすぐにくれたんですって。全く、自分のポケモンよりもリーグが大切だなんて、そんなトレーナーのとこにいるより、私の元にいたほうがいいに決まっているのよ」
べらべらと喋り出す愛宮。しかし、彼女は気づいてない。
自分で自分の首を絞める発言をしたことに。
「...それも、立派な犯罪よ」
「え?!」
「貴女、気づいてないの?貴女の父親、相手を脅迫してヒンバスを手にいれたのよ」
「な、なに言ってるの!相手も承諾したって言ってるじゃない!」
「はぁ...」
フェリシアはため息をついた。
「まぁいっか。貴女方の行いは全部ジュンサーさんに連絡してあるから」
「?!」
いつの間にか、サイレンの音が聞こえたと思うとガーディを連れたジュンサーさんが愛宮の目の前にいた。
「愛宮姫華さんですね?ポケモン強奪、及び脅迫の疑いで署に同行願います」
「え、いやっ!離して!」
愛宮は両脇を警察官に掴まれ、パトカーに押し込められた。
そんな愛宮の様子を、レギュラー陣及び野次馬群は呆気にとられたように、フェリシアはXの紋様が映った瞳に怒りを表しながら見つめていた。