第14章 ファンクラブ
「で、フェリ、お前はどのポケモンを出すんだ?」
「うーん、まだ考えてる」
「ならば、出来る限り美しさが最大限になっているポケモンがオススメだ」
「なんで?」
「あいつは美しさが高いポケモンが好きなんだ」
「でも、自分で美しさを上げるのは苦手だから、家の使用人にやらせてるんだって」
「美しさ、か...あの子がいいかも」
「決まったのか?」
「えぇ」
目線をフィールドの周りに張り巡らされたフェンスの外に向けるフェリシア。その先には、恐ろしい程の形相でこちらを睨み付けているファンクラブ及び愛宮の姿があった。
そして翌日の昼休み。
フィールドの周りには噂を聞き付けた生徒達が大勢集まっていた。
「使用ポケモンは一体。どちらかが戦闘不能になったらバトル終了だ」
審判は幸村がやるらしい。
「年貢の納め時ですわね。レギュラー陣に別れの挨拶はして参りましたの?」
「しない。だって、負ける気しないし」
この言葉にカッとなる愛宮。
「その余裕が続くのも今の内ですわ!行きますわよ、ミロカロス!」
愛宮が繰り出してきたのはミロカロス。
「流石姫華ちゃんのミロカロス」
「相変わらず素敵ね~」
ミロカロスの美しさにざわめく観客。
「さぁ、次は貴女の番ですわよ」
「MyBestFriend、シャーロット!」
フェリシアが繰り出してきたのは、愛宮と同じポケモン。
「ミロ~」
ミロカロスだった。
「「「「......」」」」
愛宮の時とは違い、静まり返る観客。
皆、フェリシアのミロカロスの美しさに思わず見とれてしまったのだ。
磨き抜かれ、太陽の光を反射して虹色に輝く鱗。しなやかで、細すぎず、太すぎない体躯。切れ長の目は黒曜石のように輝いている。
「ふ、ふん!同じミロカロスでも、わたくしのミロカロスのほうが何倍も美しいし強いに決まってるわ!」
虚勢を張る愛宮。
「...じゃ、バトル、開始!」
同じく、シャーロットの美しさに目を奪われていた幸村だったが、我に返るとバトルの開始を指示した。
「先攻は譲りますわ」
「なら、遠慮なく...シャル、水の波動!」
「守るですわ!」
シャーロットの水の波動は守るによって出来た壁で防がれてしまった。