第11章 転校初日
「失礼します。今日からこのリッカイ学園でお世話になるミアレシティのフェリシアです」
ジャッカルの案内の元、ようやく辿り着いた職員室で挨拶するフェリシア。そんな彼女の元に一人の男性教師が近寄ってきた。
「お前がフェリシアだな、俺は藤沢、6年C組の担任だ。よろしくな」
「(随分上から目線ね...)...はじめまして、藤沢先生。これからお世話になります」
フェリシアは藤沢の瞳の奥に吉沢と同じ軽蔑の色があるのを見つけた。卑しい、女性を馬鹿にしたような見下した目。
「教室に行く前に校長室に行くぞ」
「はい(こんな人が教師って...大丈夫なのかな、このスクール)」
藤沢に連れられて校長室へ向かうフェリシアは、まためんどくさそうな人物が担任になってしまったと少しこの先のスクールライフが心配になった。
と同時に、もしこの目の前の人物が吉沢と同じような言動を取れば、すぐ同じ目に遭わせてやると物騒なことを考えたのだった。
そして、IN校長室。
「よ、ようこそリッカイ学園へ」
「...?」
この前のことがあるからなのか、吉沢はもうフェリシアに対して軽蔑したような態度は取らなかったがその反面、かなり怯えているようだった(そりゃ一歩間違えれば自分の首が飛ぶんですから)。そんな吉沢の様子に藤沢は首をかしげた。
「お久しぶりです吉沢校長。それで、ご用件は何でしょうか」
要件など、元々白波博士から聞いていたので知っていたフェリシアだったがここはしらを切ることにした。
「新しくこのスクールに転入する貴女に私からのプレゼントです...どうぞ」
「ありがとうございます」
と、渡されたのが一個のモンスターボール。どうやら中にいるポケモンはランダムらしい。
ボールを手渡す時、一瞬吉沢がほくそ笑むのを藤沢は見た。
「今ボールから出しても大丈夫ですか?」
「え、えぇどうぞ」
「ありがとうございます...出ておいで!」
フェリシアが投げたボールから出てきたのは一匹の小さな黄色と緑のポケモン。
「クリュ?」
クルミルだった。