第11章 転校初日
「何でここに?」
「それはこっちの台詞だよ。どうやってここまで来たんだい?」
「白波先生と一緒じゃないのか?」
「え、あぁ、ナリタ空港でヤミカラスにキャスケット取られて、それで追いかけてきたの。白波博士には先に研究所戻っててって伝えたよってあれ、そー言えば、此処、どこ?」
「リッカイ学園っすよ」
「え、嘘?!私、リッカイシティまで来ちゃったの?!」
「どうやってここまで来たんですか?」
「どうやってって、普通に走ってだよ」
「...ナリタ空港から普通に走って来たとして、何故全く息切れしていない?」
「何でって言われても、普通じゃないの?」
「「「「普通じゃない/っすよ/です」」」」
フェリシアの体力は無尽蔵と言っても過言じゃありませんからね...
「おい、お前さん」
フェリシアが振り返ると、そこには不機嫌そうな顔をした銀髪の少年が。
確か、仁王と言っていたか。
「お前さん、いつまで俺のヤミカラス抱き抱えとるんじゃ」
「このヤミカラス、君のポケモンだったの?」
「だったらなんじゃ」
フェリシアは抱き抱えていたヤミカラスをずいと仁王に差し出した。
「トレーナーならしっかり注意してよ、勝手に他人の物を盗るなって。いくらヤミカラスの習性とはいえ、しっかり言い聞かせていれば人の物を盗ったりしないはずよ」
「おっと、それはすまんかったのう」
全く反省してないような声色で仁王は謝った。
「ところでフェリシア、研究所に戻らなくていいのかい?」
「ふぇ?」
「白波先生、待ってるのではないか?」
「...あー!?忘れてた!」
「ヒコヒコヒコッ!」(急いで戻らないと!)
「そうだね。ごめん皆、邪魔しちゃって!後、明日からお世話になります!」
そう言うと、フェリシアは駆け出していってしまった。
「明日からってことは、」
「彼女、いよいよリッカイに入るんだね」
「にしても、先程ナリタタウンから走ってきたというのに、まだ走れるのか」
...余談だが、研究所にたどり着いたフェリシアからことの顛末を聞いた白波博士も大層驚いたとか。