第11章 転校初日
「ジュンサーさんに見つからないうちに捕まえなきゃ」
フェリシアは塀の上を走り出した。そのバランス感覚の素晴らしいこと。忍者顔負けのバランスとスピードで、フェリシアはまたヤミカラスを追いかけ出した。
「ふぇ?うわぁ凄いC~!忍者みたいだC~!」
塀の上を走るフェリシアに羨望の眼差しを向けていた人物がいたことを彼女は知らない。
走り続けること早数十分。
塀の上や道路を走り続けるフェリシアには少しも疲れの色が見えない。
やがてヤミカラスは門の中へと入っていった。
...なんか見覚えあるような?
「あの子、やっぱりトレーナーがいるんだ」
「ヒコヒコッ、ヒコキャッ!」(見つけ出して消炭にしてやる!)
殺気立つ一人と一匹を余所に、5メートル程の高いフェンスの中へ入っていくヤミカラス。
「ヤミ、ヤーミャ」(もう追ってこられないだろう)
ヤミカラスがそう思った瞬間だった。
「逃がすかぁ!」
なんとフェリシアはまた飛び上がったのだ。
...フェンスを飛び越えるほど高く。
「ヤミャッ?!」(嘘?!)
高く跳躍したフェリシアの身体はヤミカラスの目の前まで飛び上がり、そして、
シュタッ
ヤミカラスを捕まえ、バランスを崩すことなく地面に降り立った。
「やっと捕まえた」
ヤミカラスを抱き抱えているせいで両手が塞がっているフェリシアの変わりにフィアンナがヤミカラスからキャスケットを奪い返し、フェリシアの頭に乗せた。
その時だった。
「え、フェリシア?」
どっかで聴いたことのあるようなテノールボイスで名前を呼ばれ、振り向くと、
「あれ、幸村君?皆?」
リッカイ学園バトル部レギュラー陣の方々がいらっしゃいました。