第11章 転校初日
「あれ、あのヤミカラス、もしかしてってちょ、フェリちゃん、どこ行くの?!」
「あのヤミカラス、捕まえてきます!博士は先に行っててください!」
「ヒコヒコッキャッ!」(荷物お願いします!)
「え、ちょ、先にって、...行っちゃった。研究所までの道、分かるかなぁ?」
「待てぇ、ヤミカラス!」
「ヒコー!」(待てぇ!)
ヤミカラスを追いかけていったフェリシアとフィアンナには、白波博士の呟きは聞こえなかった。
「仕方ない、先に研究所戻るか。にしてもあのヤミカラス、やっぱり彼のポケモンだよなぁ...?」
「待てぇヤミカラス!」
「ヒコヒコヒコッ!」(火炎放射してやる!)
ヤミカラスを追いかけ空港から走り出たフェリシアとフィアンナ。フィアンナは火炎放射でヤミカラスを狙うが、空中にいる相手にはなかなか当たらない。
「フィーごめん、ちょっとスピードあげるよ」
「ヒコッ!」(了解!)
一気にスピードをあげ、ヤミカラスを追いかけるフェリシア。
住宅地の角を曲がった時だった。
「っ、危ない!」
危うく誰かにぶつかりそうになったが、咄嗟にフェリシアは脚に力を入れて飛び上がり、空中で一回転すると地面に着地し、そのまま走り出した。
「ごめんなさい!」
「ヒコヒコッ!」(ごめんなさい!)
謝罪の言葉も忘れずに。
「うわぁ、可愛くてしかも身体能力かなり高い女の子に会っちゃった!俺ってばラッキー!」
ぶつかりそうになった相手の呟きは、もうかなり先を走っていたフェリシアには聞こえなかった。
まだまだ鬼ごっこを続けるフェリシアとフィアンナとヤミカラス。近くに学校があるのか、ちらほらと子どもの数が多く、なかなかヤミカラスに近付けない。
「こうなったら仕方ない。フィアンナ!」
「ヒコッ!」(うん!)
フェリシアはフィアンナを肩に乗せたまままた飛び上がったが、今度着地したのは地面ではなく、塀の上。
...塀の上?
「ヤミャッ?!」(嘘?!)
さすがのヤミカラスも少々驚いたようだが、またすぐに逃げ出した。