第11章 転校初日
数日後。
カロス地方ミアレ空港にて。
ニッポン地方に旅立つフェリシアをプラターヌ博士が見送りに来ていた。
「忘れ物はないかい、フェリ?」
「うん、大丈夫。向こうに着いたらすぐ連絡するね」
「わかった。気をつけて行くんだよ。君のポケモン達は今ニッポンに送っているから」
『まもなく、ファイアロー航空C-3000便、ミアレ空港発ナリタ空港着の飛行機がBゲートより出発致します』
「...パパ、」
「ん?」
ギュッ
「行ってきます」
「...行ってらっしゃい、僕のフィーユ(愛娘)。白波君によろしくね」
「うん」
「楽しいスクールライフを。身体に気をつけて」
「パパもね。無理しすぎちゃダメだよ」
チュッ
抱きついてきた愛娘に、父親は頬へのキスで応えた。
「パパ、行ってきます!」
「行ってらっしゃいフェリシア!」
キャリーケースを引きずりながらゲートの奥へ歩いて行くフェリシアをプラターヌ博士はその姿が見えなくなるまで見送った。
カロスを出てから数時間後。
フェリシアとフィアンナはナリタ空港にいた。
「いらっしゃいフェリちゃん。長時間の旅お疲れ様」
出迎えてくれたのは白波博士。
「お久しぶりです白波博士。これからお世話になります」
「ヒコヒーコ」(お世話になります)
「こちらこそ、よろしくお願いします。荷物はこのキャリーケースだけかな?」
「はい。後は研究所に送りましたから」
「そうか。君のポケモン達もすでに研究所にいるよ...にしても、フェリちゃんってたくさんポケモンゲットしてたんだね」
「はい。いろんな所を旅してましたから」
「成る程ね。後で君の旅について、色々聞かせてね」
「ええ、もちろっ?!」
「ヒコッ?!」(何?!)
一行が歩きだそうとしたとき、突然フェリシアとフィアンナの頭上に影が差したかと思うと、黒い物体がフェリシアのキャスケットを持ち去ったのだ。
「ヤミ~」
フェリシアのキャスケットを奪ったのは、一匹のヤミカラス。
「ちょっと、私のキャスケット返してよ!」
「ヒーコ、ヒーコキャッ!」(そーだ、返してよ!)
「ヤ~ミ~」(や~だよ~)
フェリシアとフィアンナの怒りの声もどこ吹く風といった様子のヤミカラス。かなりのいたずらっ子のようだ。