第6章 小さき炎の決意
「いや、いいんだ赤也君。フェリちゃんの言う通りだ。すまないねフェリちゃん、不快な思いをさせてしまって」
「いえ、こちらこそ、失礼しました」
「僕はまだ未熟なとこがあるから、ヒノアラシが平気な顔で人間に抱っこされているのを見て興奮してしまったんだ」
「...白波君、興奮すると回りが見えなくなるところは変わってないね」
苦笑しながらプラターヌ博士は呟いた。
「さて、と」
フェリシアは父の腕の中からヒノアラシを受けとると、そっと地面におろし、そして目線を合わせるようにしゃがんだ。
「ヒノアラシ、君はどうする?」
「ヒノ?」(え?)
「白波博士は私を君の新しいトレーナーに推薦してるんだ。私も、ヒノアラシさえよければ君のトレーナーになりたい」
「ヒ、ヒノ...」(ぼ、僕は...)
「嫌なら無理強いはしない。君の人生なんだから、好きに選べばいい」
ヒノアラシは困ってしまった。今までのマスター達は自分の考えを押し付けるばかりで、自分で選ぶことなんてなかったからだ。
「ヒノ...」(どうしよう...)
下を向いて考え込んでしまったヒノアラシにフェリシアの足元にいたフィアンナが話しかけた。
※以降、副声音で
「ねぇ、何をそんなに迷ってるの?」
「き、君は...?」
「私はフィアンナ。フェリシアのパートナーだよ。フィーって呼ばれてる」
「そうなんだ」
「で、何で迷ってるの?」
「...だって、僕弱いもん。強いポケモンたくさん持ってるフェリシアからしてみれば足手まといにしk「そんなことないよ」?!」
弱気な発言をするヒノアラシを遮り、フィアンナはきっぱりと言った。
「最初から強いポケモンなんていないってフェリいつも言ってるし、それに私達の仲間にだって君と同じような境遇の子だってたくさんいる。それこそ、弱いからって捨てられた子とか」
「嘘...」
「本当だよ」
フィアンナは真面目な表情でヒノアラシを見つめた。
「ねぇ、ヒノアラシ」
「なに?」
「強くなりたいって思わない?」
「え...」
突然のフィアンナからの質問に、ヒノアラシは戸惑った。