第6章 小さき炎の決意
「強くなってさ、自分を捨てた人間を見返してやろうとかって思わないの?」
「それは...」
ヒノアラシは目から鱗状態だった。全くその発想はなかったらしい。というか、考えたこともなかったのかもしれない。
「僕...」
「うん」
「強くなりたい」
「うん」
「...でも、」
「なに?」
「...本当に一緒に行っていいの?」
「それはフェリに聞いて。私は大歓迎だけどね」
「...ありがと、フィー」
「どーいたしまして」
フィアンナと話し終え、ヒノアラシはフェリシアと向かい合った。
「ヒノ、」(あの、)
フィアンナと話し終えたヒノアラシがフェリシアに話しかけた。
「ヒノ、ヒノヒノヒノ」(僕、弱いし、足手まといになるかも知れないけど)
真っ直ぐにフェリシアを見つめ、ヒノアラシは言った。
「ヒノ、ヒノヒーノ!ヒノヒノッ!」(僕、強くなりたい!だから、連れてって!)
「本当にいいの?」
「ヒノ!」(うん!)
ヒノアラシはフェリシアに飛び付いて頬擦りした。
「わかった、これからよろしくね、ヒノアラシ!」
「ヒノヒノ!」(よろしくね!)
「行くよヒノアラシ、モンスターボール、Go!」
モンスターボールがヒノアラシに当たると、彼はボールの中に吸い込まれ、そして、
カタッ、カタッ、カチ。
数回揺れた後、止まった。
「ヒノアラシ、ゲッチュ!」
ヒノアラシの入ったボールを拾い上げ、フェリシアは叫んだ。
「でておいで!」
フェリシアがボールを投げると、中からヒノアラシが飛び出してきた。
「これからよろしくね、マーブル」
「ヒーヒノ?」(マーブル?)
「そう。君の名前。背中の模様がマーブル模様だからマーブル。気に入った?」
「ヒノ!」(うん!)
「ヒノアラシのこと、よろしくねフェリちゃん」
「はい!マーブルのこと、大切にします!」
いつの間にかヒノアラシ、基マーブルの首に巻かれていた水色のスカーフが風にはためいた。
「まさかポケモンに意見を求めてからのゲットとはな...」
「彼女、やっぱり面白いね。明日の講習会、楽しみだ」
「...」
面白そうな笑みを浮かべる幸村は、他の少年達から見れば魔王の微笑みのように見えたとか。