第4章 問題児の真実
「白波君、」
「...わかったよ」
「先生!?」
「みんな、ここはフェリちゃんに任せて僕らは外に出よう」
「でもよ...」
「フェリちゃんのこと、信じてみよう。さぁ、みんな外に行こう」
「ありがとうございます。フィー、貴女も外で待っててくれる?」
「ヒコ!」(勿論!)
こうして部屋にはフェリシアとヒノアラシの二人だけになった。
※副声音でお送りします。
「はじめましてヒノアラシ。私フェリシアって言うの。あだ名はフェリよ」
ヒノアラシに笑いかけるフェリシア。
「私は貴方に危害を加える気はないから安心して」
「...嘘」
「嘘じゃないわ、本当よ」
「え、僕の言葉わかるの?」
「えぇ、勿論...ねぇ、教えてくれないかな、君のこと」
「何で?」
「だって私、君と友達になりたいから」
「?!」
ヒノアラシは驚きで固まってしまった。今まで彼の周りには友達になろうといってくるような人間は居らず、腫れ物にさわるような態度か、見下したような態度を取る人間しかいなかったからだ。
...少しだけ、信じてみようか
ヒノアラシはぽつりぽつりと語り出した。
「僕ね、最初から野生じゃなかったんだ。僕は御三家用の飼育施設で生まれ育ったの。で、僕が送られたのはウツギ研究所ってとこだったの」
「ウツギ研究所...ジョウト地方ね」
「そこで僕はマスターに選ばれた。...あの頃はスッゴくワクワクしてた。どんな冒険が待ってるんだろうって...でも、そんなのただの幻想だった」
「...何があったの?」
「...初めてのトレーナー相手のバトルで、負けちゃったんだ。しかも、相性で有利なはずの虫タイプのポケモンに」
「...」
「その後もなかなかバトルで勝てなかった。マスターが他にゲットしたポケモンたちが進化するなか、僕だけ変わらずのまま。...気付いたら、マスターは僕を全くバトルに出さなくなった...それでも僕は、いつか必ずって思ってた。でも、ある日ね、」
一呼吸置くと、ヒノアラシはフェリシアが全く想像だにしていなかった言葉を発した。
「僕、交換に出されちゃったの」
「?!」
「弱いポケモンを赤の他人に押し付けてやるってマスター笑ってた。これで厄介払い出来るって」
フェリシアは唖然とした。