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蒼い月

第4章 問題児の真実


ヒノアラシに近寄るフェリシア。

「ヒッ、ヒノォォーー!」(やだ、来ないでぇー!)

手を差し出したフェリシアに向かって、ヒノアラシは火炎放射を放った。

「!!」

火炎放射が直撃した右手は少し赤くなってしまったが、フェリシアはヒノアラシの声を聞き逃さなかった。

「ちょっ、フェリちゃん大丈夫かい?!」
「...白波博士」
「なんだい、フェリちゃん?」
「この子、どうしてここに来たのですか?」
「え?」
「このヒノアラシ、臆病な性格だとしても怯え方が尋常じゃない。過去に人間に酷い目に遭わされたんじゃないですか?」
「...正解だよ」
「な?!」

静かに自分の見解を述べるフェリシアに白波博士も少年達も驚きを隠せていないようだった。

「この子は御三家用の飼育施設からではなく、保護団体から預かった子なんだ...この子を保護した人から聞いたんだけど、保護した時、この子は瀕死の状態だったらしい」

縮こまるヒノアラシを見つめながら静かに語りだす白波博士。

「ヒノアラシの身体を診たときにね、今生きているっていうのが奇跡だとしか言えないくらい傷だらけだったんだ。しかも、ポケモンの技で出来た傷じゃなくて明らかに人為的に出来たものだった。今でこそ身体の傷は治っているけど、心の傷は相当深いみたいで...」
「しかし何故、白波君が引き取ったんだい?」
「ここにはたくさんのポケモンがいるし、スクールの子も来るから友達も出来るし、人間にも慣れるんじゃないかなって」
「でも、それが裏目に出てしまったんですね」
「スクールに入学する子に渡そうとしても怯えて火炎放射浴びせてくるし、トレーナーが選んでもその行為のせいでポケモンに襲われたと誤解して結局返されてしまったりしてね」

白波博士の話を聞きながらもフェリシアはヒノアラシから目を離さなかった。

「...白波博士」

ヒノアラシを見つめながらフェリシアは口を開いた。

「ヒノアラシと、二人っきりにしてもらえませんか?」
「「「「?!」」」」

これには全員(プラターヌ博士以外)が驚いた。

「この空間には人間が多すぎて、ヒノアラシが落ち着けないんです」
「でも、ヒノアラシが暴れるようなことがあれば...」
「大丈夫です...私のこと、信じてください」

そう言って頭を下げるフェリシア。
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