第29章 対策会議
「......ヤミラミの宝石に関しては、多分人間に埋め込む為に獲られたんだと思う」
「その根拠は?」
「私の首の石みたいに、埋め込み易いからって言うのと、あと単純に液体化とかが難しそうだから」
「成程......胸糞悪いとはこの事だな」
柳がすらすらとノートに書き込んでいく。その目はうっすらと開かれているが鋭い光を宿している。
「そう言えば、フェリのその石って何なんだ?」
ブン太が疑問符をつけた。
「私に埋め込まれた能力がミュウとゼルネアスって言うことはわかってるんだけど、でも、この2体に関する石っていうのが思い付かなくて」
ゼルネアスの角についている宝石とはちょっと違う気がするし、と続けるフェリシア。
「......見ても、いいか?」
「...うん」
フェリシアに確認を取る柳。フェリシアはそっとマフラーを外した。
「............」
日に当たってないせいで真っ白で華奢な首筋がマフラーの下から現れた。
その首に埋め込まれた、蒼く光る宝石。そして、その石を囲むようにケロイド状になった皮膚。
確かに、人前に易々と曝せるものではない。
「...痛い?」
「...今は平気。たまに、雨の日とか疼くこともあるけど」
「触っても、いい?」
「......うん」
そっと傷に触れる幸村。
しばらく触れていたが、幸村の脳裏に突然あるものが思い浮かんだ。
「あ、」
「ん?どうした精市?」
「この石、Zクリスタルに似てる気がする」
「え?」
「何?」
フェリシアは自分の左手首に嵌められたZパワーリングを見た。そこにはホノオZが装着されている。
「確かに、形状は似てる、けど、ミュウやゼルネアスのZクリスタルって発見されてなかった筈だし...」
「フェアリーZやエスパーZである確率は?」
「無いと思う。だってまず色が違うし、紋様も違うから」
ほら、とフェリシアの手の上に転がったのは薄ピンク色のZクリスタルと濃いピンク色のZクリスタル。
「うわぁ振り出しじゃないっすかぁ~」
頭を抱える赤也。
「...で、結局あいつらの目的って何なんだ?」
「ポケモンと人間を何かの実験に利用していることは事実なのでしょうが...」
「取り敢えず纏めるぞ」
柳がホワイトボードに書いていく。