第29章 対策会議
「...で、その次が愛宮財閥の一件」
「あのミロカロスの事件だね」
「えぇ。まず表向きの愛宮財閥はポケモンの保護、そして新しいトレーナーに譲渡するという事業を主にしていた。けど...」
「実際は、ポケモン達をデスサイズ団に売り飛ばしていた、と」
フェリシアの言葉を柳が引き継いだ。
「でも、そこまでわかってて、何で警察はデスサイズ団を逮捕出来ないんだ?」
ジャッカルが最もな疑問をあげた。確かにそうだ。
「簡単よ。まず、あいつらのアジトがわからなくて、構成員も把握出来てないし、捕まえてもほとんどが末端の下っ端だから大した情報も引き出せない。それからボスの素性が不明だから」
「『ミスターS』、でしたっけ?」
「うん。それから幹事にアンバーって言う行方不明者がいる」
「そのアンバーって言う男は、消されたのかい?」
「まだわからないって」
幸村の質問に、フェリシアは首を振った。
「......そして最近が、この前のバトルフロンティアのイベント......ブレーンのポケモン強奪と、『実験』で亡くなったポケモン達の『処分』が目的」
フェリシアの声と表情が固くなる。
「亡くなったポケモン達は、少し本来の姿とは違っていたり、身体の一部が欠損してたの」
「はぁ?!」
「俺達は良く見ていないが、それは本当か?」
真田達は現場に駆けつけて直ぐに我を失っていたフェリシアに襲われたせいで亡骸達のことはあまり良く見ていなかったらしい。
(つかまずポケモンの死体自体あんま見たくなかったし......byブン太)
「うん。例えばチコリータの亡骸には首もとにメガニウムみたいな花が咲いてたし、ヤミラミの亡骸は本来付いている筈の宝石が一つも見あたらなかった...他にも色々、ね......」
「ひでぇ......」
拳を握り締める少年達。
「フェリシア、辛いと思うけど...」
「大丈夫。自分のルーツがわかるかもしれないのに、逃げてらんないもん」
幸村の気遣いに、フェリシアは笑って応えた。