第28章 少女の背負うモノ
「え...?」
驚きに目を見開くフェリシア。
「ど、して...?」
「?協力したいって思っちゃ駄目なのか?」
「え、だって私、皆のこと騙してた、のに」
「誰でも隠し事の2つや3つぐらいありますよ」
「化け物みたいな能力だってある、し...」
「そーゆー力持ってる人だって居るっつったのはお前だろい?」
「で、でも...」
「観念しなよフェリ、多分皆梃でも動かないよこれ」
フィアンナが呆れたように呟いた。
「...ねぇ、フェリ、」
「何、精市く......」
フェリシアの言葉が途絶えた。
幸村にそっと抱き締められたからだ。
「......俺達って、頼りない?」
「え...?」
「足手まとい?」
「そ、そんなことない!」
「じゃあ......」
「だったら頼れよ!何で、自分で全部背負おうとするんだよ!」
「?!」
「俺達...仲間だろ......」
「っ!」
幸村に真っ直ぐ見つめられ、フェリシアは言葉に詰まってしまった。
自分の正体が知られるのが怖くて、知られた時が怖くて、一歩踏み込むのが怖くて。
「...私のこと、怖くない?気持ち悪く、ない?」
「そんなことない。思ったこともない...だって、」
「君は、何処にでもいる普通の女の子じゃないか」
「...っ」
その言葉に、フェリシアの見開かれた目から大粒の涙が溢れだした。
「あー!幸村君がフェリ泣かせた!」
「ん?ブン太、俺が泣かせたのかい?」
「え?!な、泣き止ませるから大丈夫だろい、ジャッカルが!」
「俺かよ!」
「ああフェリさん泣かないでくださいっす~」
「そーゆーお前まで泣いてどうするんじゃ」
「目を擦ったら赤くなってしまいますよ、ハンカチを使って下さい」
「うぅ、ありがとうっす柳生先輩...」
「貴様ら、騒がしいぞ!病室内では静かに!」
「そう言う弦一郎が一番煩いぞ」
「な?!」
「っ、ふふっ」
賑やかなレギュラー陣に、フェリシアはそっと笑みを浮かべた。
その笑顔は、まるで憑き物が落ちたようだった。