第28章 少女の背負うモノ
そして、泣いている人物が此方にも。
「うぅ、良かったねぇフェリ...」
「博士、いい加減泣き止みなよ」
少年達と笑い合う愛娘の笑顔に涙が止まらないプラターヌ博士。
「...にしても、びっくりしちゃった」
「ずびっ......何がだい?」
「幸村君の言葉。あの時、博士がフェリシアに言ってくれた言葉と同じだったから」
あの時――フェリシアが正式にプラターヌ博士の娘になった日を思い出したのか、フィアンナは嬉しそうだった。
「...僕は思ったままのことを言っただけだけど、それがあの子にとっては救いだったんだろうね」
「で、今回もその言葉に救われた」
「......でも、これから大変そうだ」
「うん...」
そっと病室を後にするプラターヌ博士とフィアンナ。
せめて、この時だけはかの少女に安らぎが訪れることを祈って。
「......やっぱり、あの子がそうだったんだ」
どこかの暗闇にて。
「あの時の『最高傑作』が生きていただなんて、想定外だったけど、でも上手く行けば、『計画』を実行出来る期間が予定より早くなりそうだ」
暗闇に、電子ウインドウが現れる。
そこには、意味のわからないデータの羅列。しかし、この人影はその意味を全て把握しているようだ。
「さて、どうやって手にいれようかな......」
手を翳し、ウインドウを消す。
少女の過去を知る『もう一人の人物』は、動き出す。
もう一度、少女を自分の手に入れる為に。