第28章 少女の背負うモノ
「......ここまでが、僕と出会う前のフェリシアの話」
プラターヌ博士が周りに目線を向けると、少年達は皆呆然としていた。
「...あー、大丈夫?」
「.........まさかとは思いますがプラターヌ博士、10年以上前から頻繁に起こっていた誘拐事件の行方不明者達は、確か女の子が保護されたことを切欠に、その...」
何かを思い出した柳が声を出した。だが、若干歯切れが悪い。
「柳君よく知っているね...そう、10年以上前から多発していた未解決の誘拐事件の行方不明者達は、皆同一犯の仕業。その末路が世間に知れ渡る切欠になったのが、僕とフェリシア達との出会いだったんだよ...彼らは、殆どがフェリシアと同じような扱いを受けて、そして...」
「...殆どが、亡くなった、と...」
柳生が呟いた。
「...あの、プラターヌ博士、」
幸村が声を発した。
「何だい、幸村君」
「その、フェリシアに植え付けられたポケモンの遺伝子って......」
「...あぁ、そうだったね。ちょっと、これを見てくれないか」
プラターヌ博士は、首元までかかっていた娘のシーツを少し剥いだ。いつもマフラーで隠されていた首元には、何かの紋様が映った蒼い石が半分埋まっていた。
「この石に、そのポケモン達の遺伝子が組み込まれているんだ」
「まさか、彼女が何時もマフラーを着けているのって、」
「...そう、『これ』を隠す為だよ」
プラターヌ博士はそっとシーツを元に戻し、娘の髪を撫でた。
「この石にはね、」
――――『ミュウ』と『ゼルネアス』の遺伝子が含まれていたんだよ――――