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蒼い月

第27章 過去の幻






「......駄目だよフェリシア、自分を見失っちゃ」





という声と共に突然、フェリシアが崩れ落ちた。その身体を支えているのは、

「あの、どちら様?」

見知らぬ少女だった。
フェリシアより若干小さい背丈に朱色のポニーテールヘア、黒い瞳。頭にはゴーグル、首には水色のマフラーとZクリスタルのブローチ。服装は朱色のパーカーとショートパンツとロングブーツ、クリーム色のタンクトップとニーハイソックス。
何となく、フェリシアの色違いという感じである。

「私のことは後で話すから。取り敢えずエニシダさん達の所へ運ぶから手伝って」
「あ、あぁ...」

取り敢えず、謎の少女の登場により、危機を脱した部員達だった。












そして、その夜。
デスサイズ団の拘束と尋問に犠牲となったポケモン達の埋葬に国際警察からの事情聴取にと目まぐるしい1日が終わろうとしていた頃。

「「「「「「「「......」」」」」」」」

病院の一室に、バトル部員達はいた。
病室の中央に置かれたベッドには少女が眠っている。

「...入るよ」
「プラターヌ博士!」
「何故ここに?」
「...白波君から連絡を貰ってね」
「そう、でしたか...」

病室内に沈黙が降りる。
その沈黙を破ったのは、幸村だった。

「プラターヌ博士、彼女は、フェリシアは何者なんですか?」
「...」
「いくら怒っていても、俺達に攻撃を仕掛けてきたなんて普段の彼女じゃあり得ない」
「......」
「それに、彼女に波動使いとサイキッカーの素質があるのは知ってますが、それらの人種が雷パンチや冷凍パンチを使えるなんて聞いたことがない」
「.........」
「フェリシアは、この事件の『被害者』達と何か関係あるのですか?」
「............」
「博士......」

幸村の問いかけに、プラターヌ博士は答えない。
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