第27章 過去の幻
「...博士、もう隠し通せないよ」
突如病室内に入ってきた一人の少女。昼間突然現れたフェリシアの色違い少女だった。
「幸村君達にも見られちゃったし、デスサイズ団があんなことを仕出かした以上また関わることになるのは目に見えてるし」
「あ、お前昼間の...」
「...フィアンナ」
「え?」
プラターヌ博士の口から出てきたのはフェリシアのパートナーであるヒコザルの名前。そういえば『あの時』、フィアンナは何処にいた...?
「まずは自己紹介だね...この姿では初めまして、フィアンナだよ」
「は?!」
「フィアンナって、ヒコザル...ポケモンだろ?」
「今もポケモンだけど?」
「いやいやいやいや、何処が?......は?」
一瞬のうちに少女が姿を変えた。
その姿は、幸村達にとって見慣れたこざるポケモンの姿。
「え、は、えぇぇ?」
「どういう、ことですか...?」
「まさかおんしゾロアだったr「違うから」そーかい」
仁王の意見を即座に否定する人型のフィアンナ。
「......そうだね、何から話そうか」
プラターヌ博士が閉ざしていた口を開いた。
「...話す前に一つ、いいかい?」
「何ですか?」
「僕の話を、フェリシアとフィアンナの過去を聞いても、この子達の友達で居てくれないかい?」
「え?」
そう尋ねるプラターヌ博士の目は、泣きそうに見えた。
「あと、これから話すことは他言無用でね...破ったら、消し炭にするから」
フィアンナの目も、辛い何かを耐えるように光っていた。
「...守ります」
答えたのは、幸村だった。
「彼女の過去がどうであれ、フェリシアもフィアンナも、俺達の仲間であることに変わりはありません」
周りの部員達も、肯定するように頷いた。
プラターヌ博士は、少年達の目をそれぞれ見つめ、やがて、ため息をついた。
「...わかった。それじゃあ話そうか」
――――彼女の、彼女達の過去を――――