第27章 過去の幻
一方その頃リッカイ陣。
「フェリはどっちにいった?!」
「所々破壊されていますし、もしかしたら瓦礫の奥という可能性も...」
「...ん?待て、何か聞こえるぞ」
ジャッカルの声に耳を澄ます部員達。
そして、その耳に入って来たのは、
「この悲鳴は?!」
「フェリシア、か?」
「急ごう!」
そして、
「こ、これは...」
「酷い...」
彼らが目にしたのは息絶えたイキモノ達と瓦礫の山という悲惨な光景と、その光景の中央に立つ一人の少女。
「...フェリシア、これはどういうことだ?」
「......」
真田が声をかけるが、目の前の少女は応えない。
その身体も、所々ボロボロだった。
「あ」
何かを見つけた赤也。その目線の先にはこれまたボロボロのデスサイズ団が。
「デスサイズ団?!」
「何故こんなところに!?」
「...っひ、ひぃぃぃ」
怯えた表情のデスサイズ団は震える指である方向を指す。その指の先にいるのは、
「あ、あの女が...」
「ば、化け、も、ひぃぃぃぃぃ!」
ドガッという音と共に男は沈んだ。フェリシアが上から頭を踏み潰したのだ。
(何時ものフェリシアだったらここまでしないはず、じゃぁ、何で...)
幸村のその思考は突然途絶える。
目の前に、フェリシアの拳が迫っていたからだ。
「っ!」
間一髪で避ける幸村。フェリシアの拳は時折ビリリと音をたてて火花が散っている。
(今のは...雷パンチ?)
「落ち着けフェリシア!俺達がわからないのか!」
真田の声も届いていないようだ。むしろ、その声の主を標的に替えたらしい。今度は拳に冷気がまとわりついた。
(まずい、冷凍パンチだ!)
避けられない、真田が目を閉じた瞬間だった。